ユニレートとは?基本の特徴と向いている部品|設計・発注前に知っておきたいポイント
図面の材質欄に「ユニレート」と書かれていて、「これはどんな材料?」「POMやベークと何が違うの?」と戸惑った経験はないでしょうか。あるいは設計の立場で、「絶縁部品の材料にベークやガラエポ以外の選択肢はないか」「絶縁性も寸法精度も欲しいが、POMやMCナイロンでは物足りない」と探している方もいるかもしれません。ユニレートは、POMやMCナイロンほど名前は知られていないものの、電気絶縁と寸法安定性が求められる部品で根強く指定されている材料です。
この記事では、ユニレートの正体と特徴、よく比較されるベーク(フェノール積層板)やPOMとの違い、そして切削加工の現場で気をつけているポイントを整理します。設計者の方の材料選定にも、商社営業の方が客先へ説明する際の下地にもお使いいただける内容です。
目次
ユニレートとはどんな材料か
ユニレートは、ユニチカ株式会社の商品名(登録商標)です。一般名称でいうと「熱可塑性ポリエステルコンポジット」と呼ばれる材料になります。
中身は、ペットボトルでおなじみのPET樹脂を主原料に、ガラス短繊維や無機フィラーを混ぜ込んで複合化したものです。押出成形したあとに加熱積層プレスをかけて、板や丸棒の素材に仕上げています。
見た目は茶色(ナチュラルブラウン)で、ベークに少し似た色合いです。PETといっても透明なペットボトルとはまったくの別物で、「ガラスと無機フィラーで固めた、硬くて寸法の動きにくいPET」とイメージしていただくとわかりやすいと思います。

ユニレートの主な特徴
ユニレートが選ばれる理由は、主に次の4つです。
- 電気絶縁性に優れる:絶縁板や端子台など、電気を通したくない部品に使える
- 寸法安定性が高い:吸水が少なく、湿度で寸法が動きにくい
- 剛性・強度が高い:ガラス短繊維とフィラーの効果で、たわみにくい
- 耐熱性がある:連続使用温度はおおむね120℃前後(参考値)
一方で、フィラーを多く含むぶん比重は約1.6とやや重めで、粘り(靭性)はPOMやMCナイロンほど高くありません。強い衝撃がかかる部品や、しなって使う部品には向きにくい材料です。
まとめると、「絶縁したい」「寸法を動かしたくない」「たわませたくない」がそろう部品で本領を発揮する材料です。
ベーク・ガラエポとの違い
ユニレートがよく比較されるのが、ベーク(フェノール積層板)やガラエポ(ガラスエポキシ積層板)といった熱硬化性の積層板です。どれも絶縁部品の定番材料で、用途がよく重なります。
熱硬化性の積層板と比べたとき、ユニレートは吸水性・電気特性・加工性の面で改善されている、というのがメーカー側の位置づけです。実際に、ベークで作っていた絶縁部品で「湿気で寸法が動いて組み付けに困る」「狙った公差が出にくい」といった悩みがあり、ユニレートに置き換えるケースは業界でも見られます。
- ベーク・ガラエポ:絶縁材として実績が長く、耐熱面で有利なグレードもある。湿気の影響や、加工時の粉じん・欠けに注意が要る。
- ユニレート:吸水が少なく寸法が安定しやすい。公差の厳しい絶縁部品に向く。
「ベークで精度が出ない・湿気で寸法が変わる」は、ユニレートを検討するサインと覚えておくと役立ちます。ただし使用温度や難燃性の要求によっては積層板のほうが適する場合もあるので、使用条件と合わせての判断になります。
POM・MCナイロンとの違い
切削加工の定番であるPOM(ジュラコン)やMCナイロンとは、得意分野がはっきり分かれます。
- ユニレートが有利:剛性(たわみにくさ)、耐熱性、電気絶縁性、吸水の少なさ
- POM・MCナイロンが有利:粘り強さ、摺動性、削りやすさ、軽さ
ざっくり言えば、「動く・こすれる部品はPOMやMCナイロン、動かずに支える・絶縁する部品はユニレート」という住み分けです。POMとMCナイロンの使い分けについては、別の記事「POMとMCナイロンの違いと使い分け」で詳しく解説しています。
ユニレートが向いている用途
特徴を踏まえると、次のような部品で選ばれやすい材料です。
- 電気絶縁部品:端子台、絶縁板、絶縁スペーサー
- 電子機器まわり:基板の絶縁支持材、検査装置の絶縁部品
- 治具・位置決め部品:剛性と寸法安定性を活かした受け治具、位置決めブロック
- 産業機械の構造部品:たわみや寸法変化を嫌うプレート類
特に「絶縁が必要な治具」は、金属では通電してしまい、POMやMCナイロンでは剛性や寸法安定性が物足りない、というすき間を埋める材料として重宝します。
加工の現場から見た注意点
ユニレートは熱硬化性の積層板に比べれば削りやすい材料ですが、ガラス繊維とフィラーを含むがゆえのクセがあります。
- 工具の摩耗が早い:ガラスやフィラーが刃物を削っていくため、超硬工具が基本。工具費が加工費に効いてきます。
- 角や薄肉部が欠けやすい:硬い反面、粘りが少ないため、エッジや薄い部分で欠けが出ることがあります。
- 切削粉への配慮:フィラーを含む細かい粉が出るため、集じんが欠かせません。
- 加工熱:熱が逃げにくいため、切削条件や冷却を調整しながら削ります。
そのため、同じ形状でもPOMより加工費が上がることがあります。図面で極端に薄い壁や鋭いエッジを避けるだけでも、欠けのリスクとコストを抑えられます。形状とコストの関係は、別記事「樹脂の切削加工でコストが変わる理由」もあわせてご覧ください。
弊社の加工事例:ユニレート製の端子台(ターミナル台)
お客様から、ユニレート製の端子台(ターミナル台)の加工についてお問い合わせをいただきました。端子台は電線や端子を固定する部品で、電気を通さないことと、端子の位置がずれないことの両方が求められます。ユニレートの絶縁性と寸法安定性がそのまま活きる、代表的な用途です。
加工では、プローブソケットを差し込む挿入穴の嵌合(はまり具合)を、実際の差し込み具合を確かめながら調整して仕上げました。きつすぎると挿入しにくく、ゆるすぎるとソケットがぐらつくため、狙ったはまり具合に合わせ込むことが品質を左右します。寸法の動きにくいユニレートは、合わせ込んだ嵌合が使用中も変わりにくい点でも、この用途に向いています。
【結果・ポイント:例)欠けなく、図面公差どおりに仕上げて納品】しました。
弊社で対応できること
弊社は名古屋を拠点に、樹脂の精密切削加工を専門としています。ユニレートのほか、POM・MCナイロン、ピーク材(PEEK)、ニューライト(超高分子量ポリエチレン)、テフロン(PTFE)、ポリカーボネート(PC)といったエンプラ・スーパーエンプラから、ABS・塩ビなどの汎用樹脂まで、幅広い材料に対応しています。
- ユニレートを使った絶縁部品・治具の切削加工
- 「ベークから置き換えたい」「この部品にユニレートは合う?」といった材料選定のご相談
- 欠けやコストを抑える形状のご提案
- 小ロット・試作対応、追加工
「図面にユニレートと書いてあるけど、別の材料でもいけるか知りたい」といった段階でも、図面をお送りいただければ具体的にご提案します。
まとめ
ユニレートは、PET樹脂をガラス短繊維と無機フィラーで強化した、絶縁性と寸法安定性に優れる材料です。
- 電気絶縁性・寸法安定性・剛性・耐熱性(約120℃)が強み
- ベークで精度や湿気の影響に困っている絶縁部品の置き換え候補になる
- 動く・こすれる部品はPOMやMCナイロン、支える・絶縁する部品はユニレート
- 工具摩耗と欠けに注意が必要で、薄肉・鋭いエッジは避けるとコストを抑えやすい
絶縁と精度を両立したい部品で材料選びに迷ったら、ぜひ図面段階でご相談ください。
